日仏交流俳句コンクール

「離れていても」
―withコロナで頑張る世界に俳句でエール―

パリ日本文化会館は、新型コロナウィルスが人々の生活を大きく変える中、
国境を超え、感じたことを共有しあい、交流する場として、この俳句コンクールを企画しました。
8月4日~10月16日の応募期間中に、約30か国から約 1700句のご応募をいただきました。
日本でも、フランスでも、クラス単位で参加してくださった学校もありました。
多数のご応募をいただき、ありがとうございました。
また、集まった句を皆さんに見ていただくため、審査員の方々にお選びいただいた句の中から、
一般投票も行い、「みんなの一句」を選びました。その結果を発表します。

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日仏俳句コンクール 総評

黛まどか 氏

世界中が新型ウィルスの脅威に翻弄されています。
そんな中でも春になれば木々は芽吹き、花は咲き、鳥は美しい声で鳴いていました。
その「いのち」の輝きに多くの人が感動したことが日仏双方の俳句に表れていました。
また日本語を第一言語としない方たちにとって、日本固有の定型詩を詠むことはとても難しいことだったはずです。
しかし、「型」の国日本を理解していただくには、大変意義深いものだったと思います。
俳句は一期一会の文学です。たまたま出会った花鳥風月に、今日あること、今生きていることの大切さを実感し、
対象の「いのち」と共に、自らの「いのち」を輝かせていました。
日仏の「いのち」の響詠は、離れた地で生きる人々へのエールの交換でもありました。

受賞作品発表

フランス語部門

フランス語部門 一般
  • Au chant des grillons
    tu trouveras un abri
    Voyageur masqué

    虫の音に宿らむマスクせし過客
    (むしのねにやどらむマスクせしかかく)

    Justine BOHE (ジュスティンヌ・ボー)

    Var, France (フランス ヴァ―ル県)

  • Un chocolat chaud
    Quelques mots doux échangés
    par delà l’écran

    ココア手に画面越しなる睦み言
    (ココアてにがめんごしなるむつみごと)

    Mamounette (マムネット)

    Somme, France (フランス ソンム県)

  • Le printemps s'éveille
    J'imagine les sourires
    derrière les masques

    春めいてマスクの奥の微笑かな
    (はるめいてマスクのおくのびしょうかな)

    Ortoolski (オルトゥルスキ)

    Puy-de-Dôme, France (フランス ピュイ・ドゥ・ドーム県)

  • Masque un peu défait
    pour mieux sentir le parfum
    du pamplemoussier

    マスクややずらして香る文旦樹
    (マスクややずらしてかおるぶんたんじゅ)

    Florence PLISSART (フロランス・プリサール)

    Bruxelles, Belgique (ベルギー ブリュッセル)

●:審査員賞●:みんなの一句

※日本語を第一言語としない方からの俳句について、便宜上『外国語としての日本語部門』としています。

講評

俳句の定型を最大限に守りながら、パンデミックの状況に見合った季語を選び、そして心をこめて、多くの参加者がすばらしい句を応募してくださったことは、嬉しい驚きでした。

ものの香りの繊細さや虫の音、微笑みの美しさをマスクが遮ることはない。スズランの花もソーシャルディスタンス(社会的距離)によって感じる孤独を和らげてくれるものなのかもしれません。(クリスチャン・フォール氏)

フランス語部門 中高生
  • Sous un ciel blanc
    reflet d'un soleil en verre
    Printemps virtuel

    ガラス陽に映えて仮想の花曇り
    (ガラスひにはえてかそうのはなぐもり)

    Amélie COELHO (アメリ・コエロ)

    Hauts-de-Seine, France (フランス オー・ド・セーヌ県)

    Troisième (中3)

  • Sous les belles fleurs
    la pluie tombait doucement
    Le chaton dormait

    花のかげ雨和らいで寝る仔猫
    (はなのかげあめやわらいでねるこねこ)

    Kiara HUN (キアラ・ウン)

    Gironde, France (フランス ジロンド県)

    Cinquième (中1)

  • Cette pandémie
    a sûrement libéré
    cette fleur perdue

    パンデミック虚ろな花を解き放ち
    (パンデミックうつろなはなをときはなち)

    Colleen KADERT PAULTRET (コリン・カデール・ポルトレ)

    Gironde, France (フランス ジロンド県)

    Quatrième (中2)

  • Cette douce brise
    qui caresse mon visage
    Belle liberté

    頬なでるそよ風自由の美しき
    (ほほなでるそよかぜじゆうのうつくしき)

    Aela MANDELERT (アエラ・マンデレール)

    Finistère, France (フランス フィニステール県)

    Première (高2)

●:審査員賞●:みんなの一句

※日本語を第一言語としない方からの俳句について、便宜上『外国語としての日本語部門』としています。

講評

新型コロナという名の国際人と俳句という日本人の出会い。2020年の春は長い物語の始まりでした。中高生にとって春は「ヴァーチャル」だった一方、「パンデミック」はリアルだった。パリの「窓辺」で退屈なときを強いられたとしても、「沈黙」という「自由」は、ちょうど詩歌というものがそうであるように、いつだって「黄金」にも値するものです。(ニコラ・グルニエ氏)

フランス語部門 小学生以下
  • Assis sur ma chaise
    j’écoute le chant du vent
    J’écris ce poème

    風の歌椅子で聞きつつ詩作かな
    (かぜのうたいすでききつつしさくかな)

    Caspar BOUTIN (キャスパール・ブタン)

    Paris, France (フランス パリ)

    CM2 (小5)

  • Le four sent très bon
    J'ai besoin de mes amis
    Le Printemps se fane

    友を待つオーブン香り春は過ぎ
    (ともをまつオーブンかおりはるはすぎ)

    Salomé COELHO (サロメ・コエロ)

    Hauts de Seine, France (フランス オー・ド・セーヌ県)

    CM1 (小4)

  • Ôhé ! Les abeilles
    Butinez un cerisier
    pour mes tartinettes

    パンに塗る蜜を桜に摘め蜂よ
    (パンにぬるみつをさくらにつめはちよ)

    Eliah LESNARD (エリア・レナ―ル)

    Finistère, France (フランス フィニステール県)

    CM1 (小4)

  • Au temps du virus
    les heures comptent des jours
    Chaleur étouffante

    ウイルスの日々長くして蒸し暑い
    (ウィルスのひびながくしてむしあつい)

    Lina REKIK (リナ・レキック)

    Paris, France (フランス パリ)

    CM2 (小5)

●:審査員賞●:みんなの一句

※日本語を第一言語としない方からの俳句について、便宜上『外国語としての日本語部門』としています。

講評

新型コロナ危機のきびしい状況のなかで、小さなみんなが友だちを心配する気持ちや、外にでられない悔しさ、そして、つらくても負けない元気といった自分の思いを、俳句のリズムにのせて伝えようとがんばったことに、感動しました。ある子の句にこんな言葉がありました。「命の575」。

大切なことはひとつの困難をみんなで共有するということ、現実をしっかりみつめ、みんなで考えられるということ。それは伝染病という大きな問題も、俳句をつくることも同じです。

道は開ける。子どもたちの句からはそんな勇気がわいてくるものです。(川崎康輔氏)

日本語部門

外国語としての日本語部門

俳句は、作者氏名のアルファベット・50音順で掲載しています。

主催:パリ日本文化会館
協力:パリ日本文化会館・日本友の会
審査:黛まどか(俳人)、Nicolas Grenier (詩人)、Christian Faure (紫木蘭俳句会 同人)、川崎康輔(Association “Haikuman 575”)
俳句翻訳:Christian Faure、川崎康輔